STEREO CLUB TOKYO

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左手シャッターボタンの謎

 さて、誰もが一番とまどうのがシャッターボタンの位置だ。普段カメラを使わない人だって「何でヒダリなの?」と思うだろう。だけど、そう思う人はたいてい右利きの人だ。左利きの人ならそうは思わないだろうということで、「これは左利きの人のために作ったか、作った人が左利きだったのだ」と結論付ける御仁も多いのです。しかし、50年前の工業製品とは言え、右利きの人が使いづらい製品を良く考えずにマーケットに投入する、そんなことは企業戦略として考えにくい。右利きの世の中で、右利きの人が使いやすい製品を作ることは当たり前で、使いづらいものを作れば売れ行き不振で会社倒産だってありうる。だから社長さんは左利きの人のことなんてあんまり考えないのだ。まったく、左利きの人には気の毒な話しなのだけど。じゃあ、昔のアメリカ人は左利きが多かったか、というとそんな事実はない。調べたのかと問われても困るけど。
 でもこのカメラ、左利きの人にとって使い良いかというとそうでもない。巻き上げは右手用デザインだし、フォーカシングも右手じゃないとできない。どうやら、設計者は右手と左手にフォーカスとシャッターの操作を分業させたようだ。左フォーカス・右シャッターでも良さそうだが、ダイヤル式のフォーカスは左手では操作しにくい。一方、シャッターは押すだけだから左手でも簡単なはず。フォーカスを合わせ、持ち替えずにシャッターを切る。カメラホールドを崩さずに一連の動作ができること、そのための左シャッターデザインだと考えるとなるほどなぁと思えてくるのである。シャッターボタンは重要だから右にあるべきという人もいるだろう。でも、発想の転換で左に置いた設計思想は実にすばらしい、と思うんだけど。
R_S-button.jpg

投稿者 sekiguchi : 2004年08月25日 02:10


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