STEREO CLUB TOKYO

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左右レンズの光軸高さ調整

 スライドペアをマウントするときに、ステレオウインドウを考慮してコマの上下、左右、回転(水平)を調整しなければならない。左右の位置調整はウインドウに対しての奥行きにも影響するのでよく話題になる。上下のずれは非常に見にくいペアになるので、ペーパーマウントでは上下のマスクしろを使って修正して固定する。しかし、厄介なのがRBTマウントで、これには上下位置を調整するしくみがない。RBTマウントはマウント作業が簡単だ。ラボでのマウントサービスが終了してしまった現在では手軽にステレオ写真を楽しむための必須アイテムになりつつあるが、カメラの左右レンズの光軸が水平位置で完全に合致していることを前提にデザインされているのでマウントの自由度が少ない。
 リアリストは、機体差は多少あるにせよ左右の上下差は必ずある。レンズ取り付けの上下位置調整の機構はなく、部品の加工精度である程度の範囲に収まるように作られている。上下差は1mmに満たないためペーパーマウントを行う場合であれば何ら問題はない。これを更に厳しい精度で再調整する、もしくは何かの理由でレンズセットが大きくずれている場合は分解が必要である。前に紹介した絞りの整合と同じ手順で、レンズボードからレンズを完全に取り外す。レンズを取り外すにはあらかじめ左右を連結する金属リボン①を取り外しておいたほうが良い。それには絞りリングにある止めネジ②を左右両方とも外し、リボンを連結するスプリング③を外す。上下の調整しろをかせぐにはレンズボードを削ってレンズセットの穴を広げるわけだが、大掛かりな作業になる事は避けられない。レンズセット位置の決定には、焦点位置調整と同様にフィルムレール上の像の位置を確認して行う。このときには左右の絞りの関係も保つようにしなければならないので、組立時の作業負荷は相当大きい。この作業はメンテナンスというよりもリアリストの製造精度をさらに上げるカスタムチューンである。マウントの作業を簡単にするためにチューンをするか、あえてカメラはオリジナルのままにしておいてマウント作業でカバーするか。さあ、どっちだ。
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投稿者 sekiguchi : 2007年02月25日 17:04


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