STEREO CLUB TOKYO

« ヨーロピアン改造の問題点 | メイン | ヨーロピアン改造の実際(2) »

ヨーロピアン改造の実際(1)

 まず改造のベースとなる機体だが、このコラムで紹介したようにF3.5レンズのモデルではイメージサークルが小さいため、画面を拡張した場合にこれをカバーできない。四隅が暗いどころか、両端が円弧状に縮小された画面になってしまう。改造はF2.8レンズのモデルをベースにする。このレンズはイメージサークルが十分大きく、周辺の画質を確保したままヨーロピアンフォーマットに拡張することができる。
 次に、前に紹介した通りスプロケットギアを歯数7のものに交換しなければならない。これを新しく作るのは大変である。ジャンクカメラからスプロケットギアを入手して使うのがやりやすい。しかし歯数7というのは特殊であり、多くの35mm版カメラは歯数8のギアを使っている。1ロールあたりの撮影枚数が減ってしまうが、ここは歯数8で妥協しよう。ジャンクカメラからの入手だからスプロケットの軸径が合わない。小さい場合は軸が入るように穴径を広げ、大きい場合は銅パイプを加工してスペーサーにする。さらにギアの厚さをオリジナルのものと同じにするため切断・研削をする。ここまでの加工は工作機械が無くてもハンドツールで対応できるはずだ。
 もう一つの難関が、歯数を変えたことによりギアの直径が小さくなり、そのままセットしたのではフィルムにかみ合わない。軸位置を手前に3mmほど移動しなければならない。これが実に厄介で、今回の改造のキーになる。加工のしやすい銅合金を使い、偏芯した軸穴を持つ部品を作製した。工作機械があれば簡単だが、ハンドツールでも精度良く作ることができる。銅合金のパイプを組合せ、太いパイプの中に細いパイプを配置してロウ付けする。これをカットして軸受部品にする。オリジナルの軸受穴をハンドドリルで広げ、この軸受部品を埋め込むことで軸位置を移動させることができる。(つづく)
#A21.jpg

投稿者 sekiguchi : 2007年03月18日 11:41


URL: http://here.there.jp/mt-tb_there.cgi/1792