STEREO CLUB TOKYO

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幸福の木

 何かのお祝いで貰った「幸福の木」という植木が実家にある。30cmぐらいの丸太が植木鉢に立ててあって、その丸太から葉が出ているという、文章にするとなんとも変な姿しか想像できないような代物なんだが。これが、環境が合っていたのかどんどん育っている。植え替えたりしながらもう今では10年以上経つ。茂った葉が天井に届きそうになっている。
 特に花も咲かない、いわゆる観葉植物というヤツだ。成長に勢いがあり、いったいどこまで伸びれば気がすむのだろうと思っていたら、見慣れない芽のようなものが出てきた。その形からもしや花の芽か?と思っていたら大きくなりながら伸びてきた。白いつぼみのような、球状の集合体が枝についている。この球状体がいくつも枝にぶら下がっているのだ。
 これは珍しいコトかと思って調べたら、やっぱり珍しいコトらしい。幸福の木というのは、「ドラセナ」という植物の、いくつかの亜種のうちの一つのようである。花を咲かせるのは珍しく、数年に一度しか咲かないのだそうだ。それに、たいていの家庭は花が咲く前に株ごと枯らしてしまうらしい。そんな珍しいものなら、無事に開花して欲しいものだ。期待して待つ。
 ようやく花が開き始めると、甘い香りが部屋中に広がる。こんな小さな花なのに、これほどまでにと思うほど香りが強い。放射状に並んだ花はマクロステレオに最適の被写体、ということで早速撮影。マウントに仕上げるとなかなか面白い。
 数日の後、花は全て散ってしまい、あの甘い香りも部屋から消えた。花が散ったら株ごと枯れてしまうかと心配したが、相変わらず旺盛に成長している。あれから2回目の開花の兆しはない。たまに写真を見ては懐かしく思うくらい印象的な出来事だったのだが。はて、あの甘い香りはどんな風だったか。時が経つと記憶が薄れる。ステレオマウントに香りも記録できれば面白いだろうに。将来デジタル技術が進歩し、いずれは香りも記録できるようになるだろうか。

幸福の木.jpg

投稿者 sekiguchi : 2010年03月09日 10:00


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