STEREO CLUB TOKYO

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金魚ちょうちん祭り

 山口県といえば下関のふぐ、ふぐちょうちんのイメージだが、似たような形のちょうちんで金魚ちょうちんというのもあるというのを知った。なんともかわいらしいちょうちんである。いったいどこのものだろうと調べると、柳井市に古くから伝わるもので、8月には祭りがあるという。町中にこのちょうちんが飾られるという。
 そんな楽しそうな祭りなら、一度行って見なければならん。というわけで、ステレオカメラをお供に出かけた。柳井市の大通りには屋台が立ち並び、多くの人であふれかえっている。一方で古い町並みが残されており、ここに一歩踏み入れると子どものころに遊んだ路地裏の雰囲気がよみがえってくる。家々の軒先には金魚ちょうちんが並んでいて、大通りとは趣の異なる、昔の素朴な祭りの風景が広がっていた。
 撮影するのも忘れて散策していると、古くから構えているふうの商店があった。入ってみると醤油屋さんである。柳井市は甘露醤油という独特の醤油が名産であるとか。店の中は昔の雰囲気そのままで、あちこち見入ってしまう。天井には金魚ちょうちんが吊るしてある。店の方にお願いして、店内を撮らせてもらった。醤油を一瓶購入し店を出たが、ここは間違いなくこのカメラより古い歴史を持っている。醤油屋だけでなく、文具店とか理髪店、土産物屋でさえ旧家のままで、その造りを活かしながら使われている。
 夕刻になるにつれ、祭り客が増えてきた。金魚ちょうちんに明かりが灯り、祭りの雰囲気が盛り上がる。デジタル一眼レフと三脚を抱えたおじさん達の集団があちこちで目に付く。このところ、写真を趣味にしている人が増えているような気がする。だけどフィルムで撮影している人は誰もいない。ステレオで撮影している人も誰もいない。それが寂しいかというとそうでもない。時代がどのように流れようと、残るものは自然と残っていくような気がする。この街並みのように。

金魚ちょうちん.jpg

投稿者 sekiguchi : 2010年07月23日 10:00


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