STEREO CLUB TOKYO

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⑦ラピスラズリの空

 パリの街並みは、地図や航空写真を見れば判るように、たくさんの路地が蜘蛛の巣のように絡み合っている。何の知識も無く散歩をすれば、迷子になること間違いない。これに対して京都は、路地が碁盤の目のようなのはご存知の通り。どっちの道が判りやすいかというと、どちらも路地が細かく入り組んでいるので迷子になる確率は同じだった。
 そんなわけで、パリの街を気ままに散歩していると、自分がどっちの方角に向かって歩いているのかわからなくなる。地図も見ないで歩いていると、いつの間にか元の場所に戻ってきてしまって狼狽なんてコトはしょっちゅうだ。まあそれでも、知らない通りにアンティークを扱うしゃれた店や、小奇麗な花屋なんかを見つけるのも楽しいもの。
 パリには目印になる大きな建物が少ないから、地図を頼りにしても目的の場所にたどり着くのはけっこうしんどかったりする。そんなときにはやっぱりタクシーが便利だ。オペラ座と呼ばれるガルニエ宮に行くため、タクシーに飛び乗った。
 程なくして、大きな通りの突き当たりに豪華な彫像を施したオペラ座が現れた。正面入り口には石造りの大きな階段が設えてあり、人々がこの階段に座り、おしゃべりに興じている。その風景のコントラストがおもしろい。
 空を見上げると青空を雲が流れてゆく。青い空に金色に装飾された彫像が映える。やはり、金色と深い青は相性がいい。そんな風景に、青地に金色の粒がちりばめられた美しい石、ラピスラズリを思い出す。良い天気に恵まれた。
 オペラ座に来て何か公演を見るというわけでもなかった。たぶん、中に入れば豪華なホールが見る者を圧倒するのだろう。だけど、ちょっとここまで来て、僅かな時間でものんびりしたかったのだ。束の間の、何をするわけでもない、のんびりとした時間。行き交う人々の流れを眺めながら、日常のわずらわしさを忘れる。さて、次はどこへ行こう。(つづく)

オペラ座.jpg

オペラ座2.jpg
目で見た空の青さはもっと深かったのだけどなぁ、なんて思い出しながら。

投稿者 J_Sekiguchi : 2012年02月16日 10:00


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