STEREO CLUB TOKYO

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レンズのまぶた

 ほかのステレオカメラにない、リアリストだけにあるものが跳ね上げ式のレンズカバーである。キャップと違い、本体と一体、いつも一緒である。撮影の時にはちょっとしたレンズフードの役目もしてくれる。まあ、本格的なフードの機能は期待できないのだけど。
 レンズカバーはリアリストのデザインの中でも大きな役割をしている。これが取れちゃうと、とたんにカッコ悪くなる。ださくなっちゃうのだ。なくてはならないこのレンズカバーには、カッコ良さポイントであるリアリストのロゴが入っている。このロゴのデザインが実にカッコいい。ステレオクラブのロゴにだってカッコいいから使われているのだ。
 レンズカバー周りのパーツにはプラスチックが使われている。今の世の中はプラスチック全盛の時代で、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネートと、数えればきりがないほど種類がある。だけど、1950年代はこれらが登場したばかりだった。すでに普及していたのはベークライトで、レンズカバーにはこれが使われている。僕たちがよく使うプラスチックは熱を加えると柔らかくなる熱可塑性樹脂だが、ベークライトは熱を加えて硬化させる熱硬化性樹脂だ。剛性があって電気絶縁性も良いので電気部品などに今でも使われている。プラスチックは経年変化で脆くなる性質があるが、ベークライトはこれが比較的小さい。もし他の樹脂で作られていたら、レンズカバーの付いているリアリストはレアものだ、となっていたかもしれない。
 ところで、レンズカバーを閉じる時に「バチン☆」と音がするように閉じる人がいる。ベークライトは丈夫だけど割れやすい。こわれちゃっても知らないよ。優しくそっと閉じてあげてね。

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投稿者 sekiguchi : 2004年10月30日 10:01


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