STEREO CLUB TOKYO

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デルタステレオのひみつ

 非常にシンプルな構造のカメラである。ファインダーのアイピース部分が裏蓋のロックをするノブを兼用している。まず最初に、やってはいけないことを教えよう。アイピースのレンズが汚れているからといって、綿棒でレンズを拭いてはいけないよ。なんと、レンズが奥に押し出されてカメラ内部に落ちてしまうことがある。こうなったら分解しなければならないが、特殊工具がなければ分解することができない。だから、ブロアーでそっとホコリを掃う程度にしておいた方がいい。えっ!?そんなのアリ?と思われるかもしれないが、実際にあった事実だ。
 裏蓋を開けるとパーフォレーションに勘合する櫛歯が見える。フィルムを巻き上げると、フィルムに引かれてこの櫛歯が右方向に動く。この動作でシャッターチャージをするという変わったセルフコッキング機構になっている。シャッターボタンを押すとシャッターが作動し、更に押し込むと櫛歯が奥に引っ込んでスプリングの力で左端に戻る動作をする。こんな動きをするカメラ、見たことがない。フィルムを巻き戻すときはシャッターボタンを押し込んで、櫛歯を奥に引っ込めてフィルムがフリ-になった状態でノブを回す。巻き戻す間はシャッターボタンを押しつづけ、櫛歯を引っ込めておく。
 レンズは50mmで、この時代のステレオカメラとしては珍しい焦点距離である。と思ったらコーティングなしの単玉メニスカスだ。およそ2~3mにフォーカスが固定されている。描写は「ふわっと」というか「ぽわん」というか。使い方次第では面白いカメラであるが、機能・性能を大幅に削除した廉価版である。マーケット価格も比較的安価ではあるが、価格を根拠にエントリーモデルとして購入すると撮影してガッカリという事態になりかねない。単玉レンズならではの特徴的な写り方をする、ということを理解した上で、このカメラならではの味わいを楽しみたいものである。

デルタ.JPG
       キャップは自作した ▲

投稿者 sekiguchi : 2008年03月22日 11:31


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