STEREO CLUB TOKYO

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リアリストの梨地再生

 他のカメラのひみつを探ってきたが、もう一度リアリストを手に取ってみよう。と思って棚から取り出すと、なんとトップカバーの銀梨地一面に不穏な斑点がタクサン!
 保管の方法が悪かったのかな?…いや、海に行ったあときれいに拭いておかなかったからか?…後悔しても後の祭りである。斑点は錆のようなものみたいで、アルコールやクリーナーでは取れない。よく観察すると、場所によってはメッキ下地の銅が腐食して緑色の錆も浮き出ている。まいったナぁ。銀梨地の再生は難しいのである。メッキをし直すとしても、クロムメッキは難しい。良い子が使ってはいけない薬品が必要だし、素人が勉強して出来るほど簡単ではない。比較的簡単なメッキとしてはニッケルメッキがある。処理薬品も市販されている。でもニッケルメッキは柔らかい。それに比べクロムメッキはとても硬いのである。
 ン?硬いのなら多少コンパウンドでこすっても剥がれないかな?リアリストのメッキは厚めでもあるし。というわけで、自動車用コンパウンドの荒目で丁寧にこすってみた。すると簡単に斑点が消えるではないか。おまけに梨地の光沢はヘンになるどころか作られた当時の上品な光沢が蘇った。汚れもすっかり落ちて見違えるようになった。
 こうなるとノブのローレットの汚れも目立ってくる。溝の一つ一つを楊枝でこすってみる。苦労の割にきれいにならない。では奥の手。ノブを取り外してキッチン用の漂白剤に浸ける。ケチらずに2時間ほど放置して、ブラシでこする。これまた見違えるほどきれいになった。加工の刃物の跡まで見えるほど光っている。
 一部、黒い文字の塗料が落ちてしまったのでプラモデル用のエナメル塗料で補修した。針のように削った楊枝で塗る。少々はみ出しても良い。半乾きのうちにペーパーでぬぐうと溝だけに塗料が残る。
 まねしても良いけど、コンパウンドは注意深くこすってね。

磨き.JPG

投稿者 sekiguchi : 2008年05月24日 20:51

マクロステレオ(後編)

 肝心のレンズが決まっていなかったが、何とかなるかな?ぐらいにしか考えていなかった。ネットで諸先輩の製作例などを拝見すると「写るんです」のレンズを使われている方々もいらっしゃる。そんなのがないかなとカメラ屋に立ち寄ると、ジャンクカメラがカゴいっぱいに積んであった。1台200円也。これはと思い、てきとうにコンパクト機をペアで数台購入。さっそく分解する。38mm/F2.8のレンズユニットがペアで入手できた。
 ただし、これをマミヤに取り付けるとフランジバックが長いので高倍率になりすぎる。どうやって倍率を下げるか?、画質を落とさないようにする方法は?、左右画面の仕切りは?、絞りの取り付けは?、絞って暗くなったファインダーでのピント確認方法は?、ストロボの光量設定は?とか、とか、とか。。。課題は盛りだくさん。
 課題は多いが、一つ一つクリアしながら組み立ててゆく楽しみがある。問題を解決するたび目標に近づいてゆくのが分かる。完成間近には桜が咲き始め、テスト撮影に最適な季節が到来した。ボロくてジャンク寸前だったマミヤ645が、世界で一台の試作カメラとして生まれ変わったのである。
 さて、フィールドに出てみるとちょうど菜の花が咲き、たくさんのミツバチが飛んでいた。ファインダーは暗いがフォーカス確認の秘策がある。静止しているものならまず外さない。1本撮り終えてさっそく現像に出す。さて、結果は・・・。
 ファインダーで確認した通りの構図で記録されている。ルーペで確認すると、心配だった解像度はミツバチの体毛が分離できるほど高い解像度が出ている。隅々まで均一な画質で、アウトフォーカスも素直なボケ。マミヤ645はタテ走りシャッターなので左右の画面でタイムラグがない。ミツバチの羽ばたきをしっかり捕らえる事ができた。リアリストマウントに仕上げて鑑賞すると、ビュアーの奥に緻密な、小さな世界が広がる。
 近接立体画像撮影装置の完成である。残念ながら量産化の計画はありません。

Prox.JPG
   ≫作例はこちら≪

投稿者 sekiguchi : 2008年05月17日 10:23

マクロステレオ(前編)

 立体写真の中でも、花や虫などの小さな世界を写したものは非日常を楽しめる。とても面白い。これを撮影するには、ステレオベースを短くしてマクロレンズを装着したカメラが必要だが、これが世の中にあまりない。リアリストのボディをベースにしたマクロリアリストがあるが、中古マーケット価格は異常に高い。おまけに目測で撮影しなければならない。飛び回る昆虫を追いかけながら撮影するにはチョット無理がある。マクロ撮影ではごく薄い被写界深度の中で、構図とピントの確実な確認をしなければ満足する結果は得られにくい。どんなに高価なカメラでも自分の目的に合わないのならば意味がない。
 というわけで、マクロ専用のカメラを自作することにした。世の中に使いやすいものがないのなら、作ってしまえということで、まず次の7つの項目をコンセプトとして立てた。
1.飛び回るミツバチが手持ちで撮影できること。
2.構図とピントが確認できるよう、一眼レフボディをベースにする。
3.リアリストマウントが使える画面サイズは最低確保する。
4.被写界深度を浅くしすぎないため、倍率はある程度控え目でもいい。
5.絞りはある程度絞った状態で固定にし、ストロボ撮影を前提にする。
6.画質は妥協しない。
7.なるべく安く作る。
 ベースとなるカメラはマーケット価格も考慮して、初期のマミヤ645にすることに決めた。かなりくたびれたものでも、少々汚くてもいいが、ストロボ前提だからホットシュー付のプリズムファインダーが要る。シャッター最高速は1/500secのモデルで十分。探して探して、本当にくたびれた安い一品を見つけた。これだ。
 あんまり汚いので、改造の前に手の届くところすべてのクリーニングをし、レザーを貼りなおした。実はこのときはまだレンズが決まっていなかった。見切り発車である。

マミヤ645.JPG

投稿者 sekiguchi : 2008年05月11日 11:44

ビューマスターのソフト

 ビューマスターの話題をもう少し。昔のリール・ソフトにもおもしろいものがたくさんある。これを入手するにはebeyを利用するのが便利だ。アメリカからの出品が、種類と品質の上でお勧めできる。かなり古いものであるはずなのに、年代の割に状態が良い場合が多い。アメリカの国民性なのか、気候によるものなのか。中にはデッドストックと思われる、未開封で値札の付いているものもあったりする。
 ただし、未開封であるから画質が落ちていないということはない。カラーが退色して赤味がかってしまっていることもある。開封していないだけに売り手に状態を確認できないので、その点はリスクだ。ポピュラーなのは3枚が1セットになってジャケットに入っているもの。安いものでは送料込み、千円以内で手に入る。
 ビューマスターと同じ規格で、チェコ共和国がチェコスロバキアだった時代にメオプタ社から出されていたリールもある。聞いたこともない東欧の町の風景が記録されたリールを覗くのもおもしろい。風景だけでなく、人々の昔の服装とか、クラシカルなスタイルの自動車が一緒に記録されていると一層おもしろい。
 アメリカで発売されていたものは、世界中の観光地をテーマにしたものをはじめ、さまざまなテーマのものがある。日本の「東京」なんてものもある。珍しいものでは価格も高くなって、50ドル、100ドルの値が付くものもある。「京都」のリールは60ドル近くの値が付いて落札することができなかった。
 色々買ったが、まだまだ興味は尽きない。中には平面写真を加工しただけのがっかり物もあったりする。そんな中、それほど相場価格が高くなくおもしろいリールがこれ。
・ WILD BIRDS
鳥たちの巣を覗く視点で撮られている。どうやって撮ったのか不思議。
・ Desert Wild Flowers
サボテンなど、砂漠で咲く植物たち。きれいな花のマクロ写真になっている。

どうぞ諸君もおもしろいリールを発見してくれたまえ。
VMリール.JPG

投稿者 sekiguchi : 2008年05月04日 11:09