STEREO CLUB TOKYO

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なぜFILM?

 ステレオの話を書き続けて、ちょっと間が空いたりしながらもよく続くものだと自分でも感心する。まだまだ続けばよいなと思っている。そのうち、自分の子供の友達から「カメラおじさん」と呼ばれそうである。このコラムでは自分のことを「僕」と称しているが、実はいいおじさんの年齢である。カメラおじさんといえば「ちびまるこちゃん」に登場するたまちゃんのお父さんを思い出す。ライカ、ライカと熱を上げているお父さんである。どこか自分に似ていなくもないな、と思う。
 「ちびまるこちゃん」の原作者のさくらももこさんはエッセイの中で、ライカを作品に登場させたことで当時の販売代理店から感謝され、漆塗りのライカをプレゼントで貰ったと書かれている。今まで、ごく一部のヒトしか知らなかった外国製のカメラを世に知らしめた功績を讃え、ということである。漆塗りのライカ。なんともうらやましい。僕がせっせとリアリストのことを書いても、ホワイト社はすでに存在していないので漆塗りのリアリストを手に入れることはできそうにない。
 こんなことを書いていると、じゃあ自分で作ってみるか、漆塗り。などとろくなことを考えない、とも言えないので恐ろしい。でもいいだろうな、金蒔絵か象嵌、螺鈿なんぞをほどこしたリアリスト。
 でもまあ、誰に感謝されるのでなくてもいい。僕の話がフィルムでステレオを撮る人の何かの役に立ってくれればいいのだ。ステレオ写真というのはとても楽しい。ちょっと難しいところがあるかもしれないけど、それもまた楽しい。立体写真になじみのない人に見せてあげると、つまらない写真でも感動してくれる。撮ってあげてプレゼントすれば、なお喜ばれる。思い出がいつまでも残るし、特別な機械を使わなくても、いつでも思い出をよみがえらせてくれる。僕がフィルムにこだわるのは、もしかしたらこんなのも理由なのかな。と、書きながら思う。

花畑.jpg

投稿者 sekiguchi : 2010年01月11日 10:00


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コメント

いつも、尊敬、唖然として拝読。
思わず条件反射してしまったのが、「じゃあ自分で作ってみるか、漆塗り。」
自作漆塗りステレオリアリスト。なるほど、そういう手があったか。現在のところ、素人漆塗りが生き残っているのが、釣り竿の和竿作りの世界。わたくしの上記ブログにも立体写真の他に、竹竿作りの迷走と瞑想があります。
漆塗りの技法というのはいろいろあって、研ぎ出し以外にザラザラ風などいろいろあります。わたくしのブログのリンクにある、工房寿晴は以前に習ったことのあるプロですから参考になります。塗りの技法の入門書もあります。要は塗っては研ぐ。乾燥には湿気が必要です。
本漆の変わり塗り、やってみようかな、、、、。いやいや、自制、自省。

投稿者 テツオです : 2010年01月17日 09:09

大先輩のテツオさんにコメントいただき、感謝感激です。

漆塗りの質感には、何か特別なものを感じます。
僕は子供の頃、釣りをしたのです。釣具店に行くと綺麗な漆塗りの和竿が陳列してあって、子供には立ち入れない一角があったことを思い出します。
それでも少ない小遣いをためて、小さな漆塗りの浮きを買ってはウットリしたものです。

カメラと釣りはちょっと似たところがある趣味だなと思っています。道具を持ってでかけなくても、家で道具をなで回しては大きな釣果を想像して楽しむことができる。道具を使っているときは孤独なところも共通点でしょうか。

これからもボチボチと書いてまいりますので、ご笑覧ください。

投稿者 sekiguchi : 2010年01月20日 00:39

どうもありがとう。
このブログは読んでいて、くすぐったいというか、こそばい気分になる。というのは、あまりにもよく理解できて、まるで自分がうまく書けないところ、手の届かないところ、こうしたいなあというところもちゃんとクリアーしているから。
最近では、昨年の記事の直後になるほどと思って、カッティングプロッターをヨドバシで探して買ってきた。と思ったら、ペンタックスのデータバック。わたくしはME用を大昔に買ってあって、温存しているので、いや、こんな人がいるのだなと思った。いままで、読むだけで、コメントはじっとがまんしてきたのですが。

投稿者 テツオです : 2010年01月20日 09:55