STEREO CLUB TOKYO

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SLに乗ろう

 えすえる。スチーム・ロコモーティブ。蒸気機関車である。僕はもうおじさんの年代だが、子どもの頃にSLが走っていたわけじゃない。だけど、蒸気機関車を見るととても懐かしく思えてしまうのはなぜだろう。SLは電車とは違って、遠いどこかの知らない土地に連れて行ってくれる乗り物というイメージがある。思えば、貨物列車の最後部に車掌車が付いていたころ、あの車掌車に乗ったらやっぱりどこか知らない土地に行けるような気がして、一度でいいから乗ってみたいと思っていた。因みに車掌車というのは貨物列車の後部ブレーキの役目も持っていたらしく、ブレーキ制御が高度になった現代では車掌車は廃止されている。この車掌車というのも機関車同様に黒く塗装されていて、イメージが似ている。
 車掌車を見なくなってずいぶん経つが、SLは一部の区間で今も運転されている。観光のために復活したものだが、それでも嬉しいものである。夏の盛り、山口線に臨時列車として運行されているやまぐち号に家族そろって乗ることにした。事前に予約が必要とのことで、近所の「みどりの窓口」で手続をしておいた。特急扱い、全席指定である。実は動いているSLを見るのははじめてであった。動かないSLならその辺の公園なんかにも置いてあるが、遠くからヘッドライトを点け、煙を吐きながら近づいてくるのは迫力が違う。駅舎にゆっくりと近づいてくる。ああ、コイツはまさに生きているのだ。
 客車の中も昔のまま。冷房も効いていて快適だが、電車とは違うリズムが聞こえる。同じレールなのになぜだろう。なぜか気持ちが落ち着く。このまま、どこか遠くの土地まで行ってしまいそうである。さて、旅行のスケジュールの関係もあって終点の手前で下車する。やまぐち号とここでお別れだ。小さく見えなくなるまで見送ったが、実は終点まで行きたくなかったのだ。それは、もうここで終わりなんだと実感してしまうから。想像の中では、彼は知らない土地をいつまでも走っている。

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投稿者 sekiguchi : 2010年07月16日 10:00


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