STEREO CLUB TOKYO

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ボディの隙間

 リアリストにはレンズバージョンの違いとか、いくつかの種類があるのだけど、主要な部品は全く同じだ。筐体の本体、レンズボードとトップカバー、どれもアルミダイキャストで作られているが、作られた年代によらずほとんど同じ形の金型で作り続けられたと思われる。もちろん、金型というのは使っているうちにくたびれてきて、新たに作り直さなければならないのだけど、あまり大きな変更はしないで同じものを作り続けてきた。そんなふうに思えるのだ。
 たとえば、巻き戻しのノブ。初期型は巻き上げノブと同じ大きさで、操作性はお世辞にも良いとは言いがたい。指が痛くなっちゃうのだが、これが後期型になるとずいぶんと大きなノブに変っている。大きすぎて、トップカバーに重なるので、干渉しないようにトップカバーを円弧状にへこませている。金型のデザインを変えたのかと思ったら、機械加工でカバー本体を削っている。金型を修正するより、鋳込んだ後で部品を削った方が安くできると判断したのだろう。
 それにしても、巻き上げノブを引き上げると判るのだけど、削られたトップカバーから内部に通じる窓ができてしまっている。中の機械がちょっとだけ見えちゃっている。砂とか埃がここから入ってしまうと・・・こまるよなぁ。この他にもノブには、巻き上げ側も少し大きくしたり、回す方向を刻印していたりと、細かな違いがいくつかあるようだ。
 僕はリアリストに関しては“後期型よりも前期型”の方が完結した形になっているんじゃないかと思っている。後からデザインを変えながら、モノづくりにはあまり手を加えていないということが後期型にいくつか見られるからだ。おそらく途中で経営陣の交替があったりとかで、モノづくりの考え方かがどこかで変ってしまったんだろうと想像している。それでも根本の作りを変えずに、長期に渡って生産された。これは、基本性能を崩さないという点で幸運だったといえよう。

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投稿者 J_Sekiguchi : 2011年03月24日 10:00


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