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桃の花

 花見と言えば桜が相場だが、もうその季節も過ぎた。梅、桜、桃、どれも昔から花見の対象として楽しまれてきたが、桃の花を見るというというのは、なじみがないのかもしれない。だが、桜に負けず綺麗なものである。
 桃も桜と同様、果実をとる種類と、花を観賞する種類がある。花を観賞するものの中に、花弁が細かく、幾重にもなったものがあり、菊桃と呼ばれているものがある。この木が小さな森のように植えられている観光園が広島県の山間部にある。花の季節に訪れると、まさに「桃色」の森になっていた。桃の花を見るための観光園、珍しい。
 中に入ると、木によって花の色が異なっていて、これらが重なり合って美しい光景になっている。桃色、白、赤が重なり合っている。歩きながらこれらの色の重なり具合の変化を楽しむ、というのもいいものだ。ゴザをひいて酒を呑むだけが花見ではない。それにしても、種類の異なる桃の木をたくさん植えて、いっせいに咲く花を楽しむ。なんと贅沢なことだろう。この庭園は、オーナー自身が独自で作られたものだという。維持も含め、大変な苦労があることだろう。
 庭園の周りは深い森と竹林で囲まれているので、自然の中に桃の森が広がっているという感じで周囲とよくマッチしている。庭園内の散策ルートの最後の方で、小高い丘になっているところを上がってゆく。桃園の全貌が見えてくると、すばらしい眺めが眼下に広がる。桃でも桜でもそうなのだが、こういう花の咲く木というのは上から眺めると、とてもきれいだ。枝が花に隠れ、花が一面を埋め尽くす。ルートの最後に、一番きれいな光景に出会えた。
 ふと気付くと、背後に墓がある。一瞬ぎょっとしたのだが、きれいに手入れがされているその墓は、オーナーのご先祖の墓だ。桃園が一番良く見える場所に墓を建てられたのだろう。先祖供養、大切だな。

桃園.jpg

投稿者 J_Sekiguchi : 2011年04月28日 10:00


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