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イエロージャック式モノクロ反転現像処方

 フィルム衰退の危機感から、ステレオカメラを長く楽しむための選択肢拡大というわけでモノクロフィルムのポジ現像実験を進めてきました。ポジ化の手法はいろいろありますが、比較的やりやすい手法としてセピア調色剤を使うものが昔から知られています。しかし、具体的処方は公開されておらず、やってみたけどうまくいかないというのが前回のレポートです。あれから試行錯誤を繰り返し、実用に供する処方を発見しましたので謹んで報告いたします。
 処方の詳細は末尾に記しますが、今回の報告は詳細の条件出しが済んでいないところでまとめていますので、試される方はこれを念頭に実施ください。また、前回のレポートで銀画像(ネガ像)が硫化される可能性を記しておりますが、これは誤りであったことが今回の実験で判明しております。最適条件であればセピア化したポジ像が得られます。
※※注意点を記します※※
今回、ISO100クラスの各銘柄フィルムで実験しています。撮影の時にはいずれも感度設定を1段下げています。
1)最も良好な結果となったのはフォマパン100。チェコのフォマ・ボヘミア社の製品。量販店で入手が可能です。
2)イルフォードFP4、ケントメア100もポジ像が得られます。フォマパンよりやわらかい描写が得られます。
3)ネオパンSSもポジ化しますが、ハイライト部分にフィルムベースの青色が強く出て不自然になります。
4)コダックTMax100、ネオパンアクロス、イルフォードデルタ100はいずれもうまくいきません。これらは乳剤に特別な工夫がされているらしく、今回の処方では漂白が進行しません。ゆえに画面が真っ黒になります。
今後も実験を重ねます。新たな発見を目指して楽しんでまいりましょう。

 
作例は上からフォマパン100、イルフォードFP4、ネオパンSS
FP4はブルーがかって見えますが、これはスキャナーの調整不足によるものです。
FP4はもう少し現像時間を短縮したほうがいいかもしれません。

【イエロージャック式反転現像処方】
<現像> 現像液 YJD-11
 温水500ml、メトール0.5g、無水亜硫酸ソーダ38g、アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)5g、
 炭酸ナトリウム(一水塩)15g、ブロムカリ2g、ロダンソーダ2g
(ロダンカリと記述したのはロダンソーダの間違いでした。訂正いたします。)
この処方はコダック硬調現像液D-11を参考にした、独自の配合としています。
フォマパン100(撮影時ISO50)の場合、24℃9分15秒、のち流水で停止。 
温度・時間条件は検証中です。(以下工程も同様)
<硫化>NNCセピア調色剤の調色液(硫化ナトリウム溶液)を使用。適宜撹拌し6分間。のち、流水で洗浄。
 ※硫化液は劣化しやすく、劣化した液を使用すると反転しません。使用前に未現像フィルム片を明光下で
   投入し、すみやかに黒化することを確認して使用してください。
<漂白>NCCセピア調色剤の漂白液に赤血塩を2g追加。適宜撹拌し8分間。のち、流水で洗浄。
<定着>スーパーフジフィックスを使用。適宜撹拌し5分間。以降、通常の現像処理と同様に水洗。

(追記)
フォマパン100を使い、撮影感度をISO100に設定しても良い結果が得られます。
ISO100で撮影し、現像液温度が20℃のときは11分あたりが良いようです。
硫化、漂白は5分程度でも充分処理されるようです。

投稿者 J_Sekiguchi : 2012年10月18日 10:00


URL: http://here.there.jp/mt-tb_there.cgi/3677

コメント

拝見させて頂きました。
自分も同じような実験をしております。

(ロダンカリと記述したのはロダンソーダの間違いでした。訂正いたします。)
ロダンカリでも問題なく可能です。

赤血塩の漂白はは環境毒性が強いのでエチレンジアミン四酢酸鉄(III)ナトリウムにしたほうが無難です。
シアン(青酸)の処理を完全に行えば良いのですが。
(排出基準1PPM 漂白処理液30000PPMです。)

以上参考までに。

http://16mm.jp/syori/genzo/16mm/8mm/devsep.htm
http://16mm.jp/syori/genzo/16mm/8mm/lab/lab.htm

投稿者 たけぴょん : 2012年12月10日 22:46

たけぴょんさん、大先輩のご来訪に感謝感激です。
貴ページは参考にさせていただき、何度も読み返しました。
ご指摘の通り赤血塩の環境毒性には危惧しており、今のところ廃液はタンクにためてありますが、いずれエチレンジアミン四酢酸鉄(III)ナトリウムへの切り替えを検討しています。
森本化成でも取扱いがありますが、もう少し安価なものがないか探しているところです。
今後ともアドバイスを頂戴できましたら幸甚です。

投稿者 J_Sekiguchi : 2012年12月11日 00:32

ホームページをごらん頂きありがとうございます。

>もう少し安価なものがないか探しているところです。
いろいろとありますよ。
農業用の製品が一番安いのですがK14(コダクローム)の現像実験時に不都合が出ました。
HPLCで調べてみると問題となる不純物があったりしました。
ある会社が出している試薬が安くて良いです。
本格的に行うときにはお知らせ下さい、案内します。

投稿者 たけぴょん : 2012年12月12日 17:42

僕も農業用のものが買えないか探していました。
液クロで分析とは本格的ですね。
やはり試薬の方が安定して良いのでしょうね。
どうぞ困ったときはお助け下さい。ありがとうございます。

投稿者 J_Sekiguchi : 2012年12月14日 01:03