STEREO CLUB TOKYO

スタジオデラックスⅡ・修理&改造

中古カメラ屋サンのジャンクコーナーを見るのは楽しい。思いがけなく安く手に入るものが。
今回のお宝は単体露出計、セコニックのスタジオデラックスⅡです。
僕はスタジオデラックスを使っていますが、古くなってきて故障も多い。そんな時に見つけたのがⅡ型です。
スタジオデラックスの最新型であるⅢ型は受光素子が変更されていますが、Ⅱ型までは同じセレン光電池。ジャンクコーナーの一品ですから動作保障はありません。しかしお値段はなんと野口さん一人分。


奥にあるのがいつも使っているやつ。
手前が今回買ってきたやつ。よく見ると落下品です。ケースの角が割れています。
はじめは部品取りにしてニコイチにしようかと思いましたけど、露出計としての機能に異常がないことがわかりました。いつも使っているやつと同じ値を示します。
分解すると割れている様子がよくわかりますね。


ひびの入ったプラスチックには、低粘度の瞬間接着剤を使って修繕します。コンビニなんかに売っている接着剤だと粘度が高く、ひびに浸み込みません。低粘度のものだと毛細管現象で隅々まで浸みます。
低粘度のものの中でも白化の起こりにくい接着剤がガレージキット用に販売されているのでこれを使いました。
欠損部分はエポキシ粘土で埋めました。外観が良くないので、極薄のアルミテープを上から貼って完了です。


分解したので、ついでにステレオカメラ用に改造。
’50年代の古いステレオカメラはシャッター系列が国際系列なので、倍数系列表示のスタジオデラックスを使うには注意が必要です。よく見ると国際系列の表示がしてあるんですけどね。
そこで、もっと使いやすいように直読式に改造です。「H」のスライド板を差し込んで、ISO100、1/100sシャッターのときに指し示す針の位置に、紙に絞り値を印刷したものを貼り付ければおしまい。
これで国際系列シャッターのカメラとの相性がぐっと良くなります。
ケースを開けた時に余計なところを触ると具合が悪くなるから注意して下さいね。

投稿者 J_Sekiguchi : 2016年04月07日 10:00 | コメント (0) | トラックバック

VMパーソナルのケース

 稼働率の低いカメラは何かないかなと見回すと、ありましたよビューマスターパーソナル。このカメラはフィルム1本で74ペアのステレオ写真が撮れます。おまけに50年代のかっこいいデザインなので、お散歩カメラに最適です。だけどカメラ本体に吊環がないので、お散歩のリード・・・いや、ストラップが付かない。
 これもベルプラスカのようにケースを作ってストラップが付けられるようにしましょう。注意しなければならないのは、シャッターボタンが前面下側にあるのです。ここにケースがかぶらないように作らなければなりません。その他の操作部はケースのデザインに支障のない位置にありますから、それほど難しくはないでしょう。
 厚紙を使って、底部と背面のパーツを作り、つなげます。カメラ現物に合わせながら厚紙を足したり、切り取ったりして形を整えます。さらに厚紙を重ねながら作業のしやすい強度にします。実用上の強度を得るためにポリプロピレンシートと自作金具を使うところも、ベルプラスカのときと同じやり方です。
 カメラ本体との結合には三脚座を使うと安心です。どんな姿勢でもケースが外れることがありません。この三脚座の穴をケースにあけますが、けっこう大きな穴なので難しい。これも前と同じく、パンチで小さな穴を開けた後、ターボライターの火炎で広げます。手際よくやらないと火事になっちゃいますので気をつけて。
 最後に革を貼り付ければできあがり。薄い革を使った方がきれいに仕上がります。本来ならここで糸縫いの工程を入れるところなんでしょうけど、接着だけで実用的な仕上がりになるのでこれでおしまい。そんなところがなんちゃって革ケースなんでありますが、本来のストラップ取り付けの目的は十分達成です。

VMパーソナルケース.jpg

投稿者 J_Sekiguchi : 2014年03月06日 10:00

続・ベルプラスカのひみつ②

 トップカバーを外すと、とてもシンプルな構造が見えます。シヤッター機構、巻き上げ制御などはここからは見えないのでシンプルに見えるのです。今回はファインダーの清掃だけなのでこれ以上の分解はしません。このカメラは距離計もありませんので、見えるところを少々触ったところで何かが壊れることはありません。
 トップカバーのファインダー位置にある、対物側とアイピース側のガラスは保護用の平面ガラスです。光学系の本体はボディの上にシーソーのように載っています。シーソーになっているのは、パララックス補正の機構があるためです。光学系ユニットはそっとつまめば取り外せます。なかなか良くできた作りです。
 ファインダーの曇りはここのレンズを拭けばいいのですが、金枠からレンズを外すのは困難です。金枠の爪でレンズを保持しているためです。爪を緩めるのは破損の原因になるので止めておいて、金枠越しにレンズを清掃します。なかなかやりにくいので、ここは必殺・実体顕微鏡を使って拭き残しがないようにしました。きれいになったかアイピースを覗いてみましょう。被写体を切り取る大事な窓です。妥協はしません。
 満足ゆく清掃ができたら、ユニットをシーソーの上に載せ、トップカバーを閉じます。ファインダーの前後にある金属板は保護ガラスを保持するためにありますが、あらかじめ両面テープを使って保護ガラスをトップカバーの内側に貼り付けておけば面倒がありません。ファインダー両脇にある、開口部をふさぐ金属板もお忘れなく。
 割合簡単に作業を終わらせることができました。内部の機構も見ることができ、よくできた作りを一度見ておくと実際に使う場面で安心感があります。では、カールツアイスの描写を楽しみましょう。

ベルプラスカファインダー1.jpg

ベルプラスカファインダー2.jpg
実体顕微鏡は便利です。

投稿者 J_Sekiguchi : 2014年02月27日 10:00

続・ベルプラスカのひみつ①

 稼働率の低い機体を何とかしようシリーズ。さて、今回もベルプラスカです。ベルプラスカはドイツが東西に分かれていた時代、東ドイツのベルカ社で製造されたステレオカメラで、数少ないヨーロピアンフォーマットカメラのひとつ。レンズはツアイスが採用されていて人気があります。
 中古市場で割合高値で取引されていますが、ebayで粘れば格安品を手に入れることもできます。この機体はややくたびれた感じがあるものの、機械の故障はありませんでした。でもなぜか、クリーニングしてもしばらくするとファインダーが曇ります。前のオーナーが揮発性の潤滑油を大量に使っていたのでしょうか。臭いもしないのに不思議。
 ファインダーが曇ったままだと稼働率が下がります。自分でメンテナンスをしましょう。トップカバーの取り外しは比較的簡単です。見えているネジを全部外します。ファインダーの左右にあるつまみもネジです。すり割の溝がないので、ゴムシートなどで挟み、変形しないように注意しながら回します。ここまで外しても、もう一つ関門があります。
 カウンターダイヤルのノブを外さないと、これがじゃまをしてカバーが外れません。ノブを左右のどちらに回してもカウンターダイヤルが回るだけでノブは外せません。さて、どうしましょう。答えは、ファインダーの右のつまみを外したところの穴に細いドライバーを差し込みます。カウンターダイヤルの下にドライバーを当て、空転を止めるようにしてノブを外します。中が見えないので初めは不安ですが、少々で壊れることはありません。
 さて、トップカバーを外すとドイツの質実剛健な作りがあらわになります。今回はファインダー内側のクリーニングだけに作業を限定します。一休みして次に進みましょう。

ベルプラスカ分解1.jpg

ベルプラスカ分解2.jpg
カウンターダイヤルを固定するイメージはこんなふう

投稿者 J_Sekiguchi : 2014年02月20日 10:00

なんちゃって革ケースの作製②

 さて、なんちゃって革ケースの作製の続き。なんちゃってといえども、強度が第一です。大事なところは、カメラの重量を支える底の部分。吊輪と底部をつなぐL字型金具が必要です。普通の金属板を曲げても強度が出ないので、使ったのが書類を綴じるクリップ。ライオンのスライドクリップの本体はバネ鋼でできています。これは硬い。折れないように、慎重に変形させるとL字型の強靭な部品ができます。本当に硬い。
 この金具と吊輪をつなぐ部品も金属にします。コクヨの書類綴じファスナーを使います。こちらは薄い金属板でできていて硬くないのでハサミで切ることができます。この二つをハンダを流して接合します。
 ケース本体への金具の取り付けはカシメ鋲を使います。金具には鋲の通る穴をあけておくのですが、バネ鋼の部分は硬いので加工が大変です。ダイヤモンドツールと棒ヤスリを使います。僕の場合、棒ヤスリをドリルチャックを介して電動ドライバにセットするという無茶をしましたが。
 カメラとケースの固定は三脚ネジ穴を使うので、ケースには穴をあけておかねばなりません。この加工が難しい。小さな穴を開けた後に広げるのが難しいのです。僕の場合、ライタータイプのジェットバーナーで焼き広げました。少しずつ焼き広げ、丸い穴に仕上げます。最後に革を貼るのでコゲは気にしない。
 仕上げに薄手の皮革を貼り付けます。金具が隠れるようにしつつ、カシメ鋲は皮革の外から打ち込みます。特に吊輪の取り付け位置の鋲はしっかりとカシメます。最後に内張りをすれば、なかなかいい感じの出来上がり。ストラップも自作のオリジナルを付けました。なんちゃっての割には良くできているでしょ。

ケース完成1.jpg

ケース完成2.jpg

レンズキャップもコダックのフィルムケース蓋を使った自作です。

投稿者 J_Sekiguchi : 2014年01月23日 10:00

なんちゃって革ケースの作製①

 ステレオカメラコレクションの中でも稼働率の低いのがベルプラスカ。何でかというとストラップが付けられない。お散歩に連れてゆくにはちょっと困るわけです。ストラップが付かないのは取り付けのための吊輪がカメラ本体に付いていないのです。この手のカメラは古いカメラにはよくあって、革のケースにストラップが付いている。だけど、もうケースは壊れたとかの理由でなくなっているという訳です。
 じゃあ、得意のebayでケースを手に入れればいいじゃないかということになりますけど、さすがに古すぎて手に入らない。もし見つかったとしてもボロボロで使えたモンじゃないという状況なのです。じゃあ得意の、ないなら作ってしまえということになるわけで、このたびやってみっかということになりました。
 本格的に本革で作るとなると、専用の道具を用意したりとか、革の縫い合わせの作法なんかを勉強したりとか面倒なわけで、靴屋を開業する夢などない僕にとってはハードルが高すぎます。そんなわけで、とにかくストラップが取り付けられればいい「なんちゃって革ケース」を作ろうということにしました。
 まずはカメラ現物から寸法を採って厚紙を切り抜きます。なんとなく、こんなふうかなぁという感じで糊付けをしてケースの原型を作ります。このままだとふにゃふにゃだし、強度もないので使えません。厚紙をさらに重ね貼りしても強度は出ないのです。というわけで、ポリプロピレンのシートを貼り付けて強度を確保します。
 それでも吊輪の部分は壊れては困るので、金具を入れることにします。適当な文具用品で金具を作り・・・はてさて、こんなんでちゃんとできるのでしょうか。つづく。

ケース原型.jpg

ポリプロピレンのシートの上からさらに紙を貼っています。

投稿者 J_Sekiguchi : 2014年01月16日 10:00

続・ステレオ10のひみつ(おまけ)

整備完了したウオーレンサック・ステレオ10で撮影。交差法でご覧下さい。
距離計の調整もうまくいきました。
エクターレンズ付きリアリストと同様、暖色系の階調が豊かです。絞り開放での柔らかな描写がすばらしい。
分解では厳しい評価をしましたが、写りはやはりキングです。

wollensak stereo 10 / Kodak EBX

投稿者 J_Sekiguchi : 2013年10月24日 10:00

続・ステレオ10のひみつ⑤

 ステレオ10はメンテナンスが難しい機種だということがわかりました。カメラの機能、性能の評価はこれから使って確かめるとしても、機械としての完成度はいまひとつと厳しい評価をせざるを得ません。少なくとも旅行に持ってゆくには不安が残ります。工具セット一式を持っていっても迅速に修理はできないでしょう。トラブル対処に苦労しそうです。
 それでも、この明るいレンズと高速シャッターの充実は魅力です。今後、撮影を重ねてこのレンズの描写の特長を掴んでみようと思います。それにしてもこのカメラ、どのような背景で誕生したのでしょう。ちょっと妄想してみましょう。
 同じボディを使うカメラにリベア33があります。資料によるとこちらの方が後に登場したとありますが、僕はそうは思いません。フロントのエンブレムはリベア33がオリジナルで、型を流用してデザインを変えたのがステレオ10でしょう。つまり、ステレオ10の方が後に登場した。リベア33のアップグレードとして、レンズユニットを丸ごと交換したというのが真相ではないかな。この方法なら設計変更、設備の更新も最小限に、すばやく市場に新製品を投入できる。
 ウオーレンサックの社史を調べると、もともとはレンズとシャッターを専門に製造する会社でした。1953年にリベア社に買収されています。この頃にステレオ10が登場したと想像します。これより少し前、ステレオカメラの流行で市場は急激に拡大し、デビッド社は先行してエクターレンズ搭載のリアリストを投入します。これは脅威だったはずです。
 リベア社はこれに対抗する製品をすばやく送り出す必要があったのです。以前より関係のあった会社を買収し、レンズに著名なブランドを前面に。そしてリアリストのF2.8より僅かに明るいF2.7レンズを採用する。これが戦略でしょう。設計をやり直す時間などあるはずもなく、既存の製造体制のまま作られた、というのがキングのひみつでは。
(おしまい)

キング⑤.jpg
当時のライバル、ウオーレンサックとコダック・エクター
どちらもアメリカを代表するレンズブランドです。

投稿者 J_Sekiguchi : 2013年10月17日 10:00

続・ステレオ10のひみつ④

 いよいよ最終組立です。距離計もユニット化されていますが、ここの設計が納得いきません。製造時の組立は治工具の併用で簡単にしていたのでしょうが、メンテナンス性は最悪です。ちょっとファインダーを清掃しようかな、なんて開けたら大変です。距離計の調整がとてもやりにくくなっている。繰り返すけど、無用な分解は禁物ですよ。
 まず、フィルムレールにピントグラスを当てて、遠距離の実像で無限遠を出す。この状態で距離計の二重像が合致するようにミラーを、フォーカスダイヤル軸に直結した駆動カムを動かして調整します。問題は、距離計を観察しながらカムの調整ができません。トップカバーをボディに組付けないと距離計が使えず、トップカバーの外からカムにアクセスできないのです。仕方なく、今回はトライ&エラーで近付け、最後はミラーの固定ネジのアソビで追い込みました。
 カムと連動するミラー駆動のレバーは板を2枚重ねた構造で、製造時はこの板をずらして調整したようです。トップカバーの革張の下には沢山の穴が開いています。調整のためのアクセスホールです。ここから工具を入れて調整をし、さらに接着剤を使って固定していたようです。アクセスホールの中には目的がわからないものもあります。
 文章で構造を説明するのは難しいのですが、大変だというのが伝われば幸いです。今回、距離計の調整が成功したのは幸運というほかありません。さあ、あとはとっとと仕上げ、革張りを換えましょう。トップの革はアクセスホールを隠すため・・・こんなことをするなら、開口部を作って金属板で蓋をしたほうがマシだと思いますが。
 せめてここはかっこよく仕上げましょう。劣化のひどい合成皮革は捨て、黒のトカゲ革に換えます。うろこの向きをよく見て切り出します。慎重に貼り付け、最後に一連の動作確認をし、ストラップをつければ完了です。

キング④.jpg
つづく

投稿者 J_Sekiguchi : 2013年10月10日 10:00

続・ステレオ10のひみつ③

 ステレオ10の巻き上げ制御は、巻き上げ軸のギアに集約されています。1回に10スプロケットの送りは、1回転ごとにストッパーがかかるギアで制御されています。巻き上げカウンターのダイヤルをRに合わせると、このストッパーが跳ね上げられてフリーになります。でもこれだけではスプロケットギアがフリーにならず、巻き戻しができません。
 巻き上げ軸はカメラ底部のギア機構にもつながっています。カウンターダイヤルをRにし、巻き上げノブを逆転すると、ここを伝い、スプロケットギアの勘合を解く仕組みです。勘合の解除は先に述べたカム形状を持ったギアで行ないます。底部のギアはシャッターチャージのために、回転運動をクランクで往復運動に変える働きもします。
 次にシャッターユニットを点検しましょう。シャッター制御機構は右レンズに集約されています。機構としては一般的なレンズシャッターと同じ。ガバナーに固着がある場合、注油などしたいところですが気をつけましょう。シャッター羽に油が回りやすい構造をしています。今回は分解せず、輪列の軸部にごく僅かに注油するにとどめました。
 左右のシャッターは連結棒でつながり、左シャッターにはシンクロ接点があります。ストロボ同期になるよう調整したいところですがちょっとやりにくい。ストロボをつないで発光させ、開口部の残像を確認するのがよいでしょう。
 ここまでの作業で、レンズユニットとボディの製造は別の会社で行なわれていたという憶測が沸いてきました。それだけでなく、設計も別の会社で行なわれていたと考えるのが自然に思えてきました。ユニットを設計込みで外注に出すというのは製造業として当たり前に行なわれることですが、全体設計がうまくないと良くない製品が生まれます。このカメラでは、レンズとボディのインターフェイスが単純化されているので成功していますが。さてさて、組立てよう。

キング③.jpg
このユニットはよくできています。まさに中核。

投稿者 J_Sekiguchi : 2013年10月03日 10:00

続・ステレオ10のひみつ②

 トップカバーのホットシュー裏には、シャッターにつながる導電線が取り付けてあります。これを取り外したいところですが、ホットシューはリベットで止めてあり、電線も部品にハンダ付けしてあるので外せません。ならば、とレンズボードを外してシャッター側の電線を見ると、端子がカシメで付けてあるので外せません。仕方なく電線を切断します。何でこんな組立て方になっているのだろう・・・実はこのような関係は後の方でも出てきます。序の口です。
 ファインダー関係の対物側は全て接着剤で取り付けてあります。無理に外すとレンズを割りそうです。ビューファインダーの凹レンズはマスクと一緒に接着されているのでたちが悪い。なんとか外しましたが、レンズの縁が欠けました。視野に影響しない小さな欠けだったのは不幸中の幸い。使われている接着剤は茶色のバルサムのような感じですが、温めても軟らかくならないようです。距離計のミラー取り付けなどにもおなじ接着剤が使われています。
 で。ミラーの清掃にちょっと触ったら、可動ミラーが取れちゃった。ハーフミラーも蒸着が半分剥げてよくない状態。こうなったら距離計ユニットを外すしかありません。外すには水準器も取っ払わねばならない構造でした。やれやれ。
 距離計ユニットの下にはスプロケットの機構があります。動きを観察すると、巻き戻しのために噛み合せを解除する仕組みが良くわかります。ここに使われている材質の組み合わせが気になります。ギア上面にあるカム形状の上を、硬い割りピンが摺動します。たぶんギアは焼入れ鋼じゃない。磨耗しやすい感じ。せめてここには焼入れ鋼を・・・。
 このあたりまで分解すると、設計の甘さが気にかかりはじめます。組立の気力も薄れそう。距離計ユニットは組立に手間取る予感満載です。さて、ここで一休みして、次は手間のかかる作業の前に巻き上げ機構を点検しましょう。

キング②.jpg
はだかの王様・・・

投稿者 J_Sekiguchi : 2013年09月26日 10:00

続・ステレオ10のひみつ①

 かねてより懸案になっていたウオーレンサック・ステレオ10の分解整備を実施しました。ステレオ10は数あるステレオカメラの中でもF2.7の明るいレンズと、1/300sの高速シャッターを兼ね備え、キングofステレオカメラとも呼ばれる高級機です。僕はこの呼称、中古市場で高額取引されているゆえと考え、疑問に思っていました。
 高級機の中身は如何に。分解すればどんな思想で設計されていたのか、どのような経営戦略で製造されていたのかを探ることができます。ビューファインダーの清掃のつもりが大分解になった今回、キングのひみつを探りましょう。
 今回クランケとなるのは、数年前にebayで手に入れた格安の機体です。シャッターの動作に問題は無いものの、レンズ周りやフロントカバーのメッキがひどく腐食し、革張りもボロボロになっていました。前のオーナーが分解したときにネジの頭をつぶした形跡もあります。ビューファインダー、レンジファインダーも薄く曇ってよく見えない。
 さて、分解の手順はそれほど複雑ではありません。巻き上げ、巻き戻しのノブを外し、トップカバーを止めるネジを2本外します。巻き上げ軸のE型止め輪も外します。気をつけねばならないのは距離計ダイヤルの取り外し。ここを外すと、ピント調節機構とダイヤルの関係が狂います。とはいっても後述の通り、どうしようもないところもあるのですが。
 レンジファインダーの面倒な調整をしたくないならば、距離計ダイヤルを時計回りいっぱい(最も近距離の位置)に回し、ダイヤルを外しましょう(無限遠位置では取り外しのネジが回せません)。組立もその位置で。ただし、フィルムレールを触っただけで位置が変わってしまいます。はじめにトラップが仕掛けてあるのです。無用な分解は禁物です。
 そんなトラップを無視し、まずはトップカバーを外したところで休憩しましょう。はてさて、どうなることやら。

キング①.jpg
まねしちゃダメ。ゼッタイ。

投稿者 J_Sekiguchi : 2013年09月19日 10:00