STEREO CLUB TOKYO

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TDCビュアーの改造

 TDCビュアーのバックライトも豆電球を使っているので、画面がかなり赤味に偏っている。これも今まで紹介してきた方法と同じように拡散板と色温度変換フィルターを入れて快適な白色光ビュアーに改造可能だ。オリジナルのビュアーを削ったりせず、両面接着テープで貼り付けるだけの加工だからいつでもオリジナルの状態に戻すことができる。あとで困る接着剤などは使わない。
 とまあ、改造に関しては過去の記事を参考にしていただければだいたいお分かりいただけるだろう、これでは話が終わってしまう。
 さて、何でバックライトはどれもこれも豆電球システムなんだろう。僕はこれに前々から疑問に思っている。明らかに不自然に赤色に傾いている光源で観賞する、これで楽しめたのだろうか。もしかして、タングステンタイプのフィルムをデイライトで使って、青味の強いスライドで観賞していた、そんなことはないよね。豆電球なんか使わなくても、白色の光源を取り入れる方法は昔にもあったはず。
 ビューマスターのビュアーを思い出してください。誰もが手にしたビュアーは豆電球なんか使わず、外の光にかざして見る簡単なものだった。昼間の窓辺には自然な白色光があふれている。手間のかかった、豆電球を仕込んだビュアーなんか無くても、明るいほうに向ければ自然に観賞できるビュアーが作れたはず。技術的にも、当事の材料環境的にも難しくは無かったはず。じゃあ何で豆電球?
 ここからは僕の勝手な推測です。理由①として、1950年代はまだ蛍光灯普及の黎明期で、一般家庭では白熱電球の照明器具が当たり前だった。なので豆電球のバックライトでも違和感がなかった(ほんとかな)。理由②として、廉価なビュアーより、カメラとセットにした付加価値の高いビュアーを販売したほうが売上は伸びる。ソフトとしてステレオスライドを提供する予定はないから、ビュアーを買う人はカメラを買う人。高いほうを売っておけというメーカー側の販売戦略(これはあるかも)。理由③として、ユーザーの立場からすれば、夜中にこっそり一人で観賞してニヤニヤしたいのだからバックライトは付けておいて欲しいというもの。さて、本当のところは何でしょうね。

TDCはベルハウエルの傘下だったことがわかりますね。

投稿者 J_Sekiguchi : 2016年06月30日 10:00 | コメント (0) | トラックバック

テントウムシとクローバー

ミツバチばかりでは飽きるので、たまにはテントウムシも追いかけて撮ります。
だけどコイツは撮りにくい。葉の上を歩き回っているところを追いかけて、飛び立つ瞬間を狙います。だけどどこで飛ぶかの予想がつかない。何かの先端に行ったときに飛ぶという訳でもない。彼らは引き返しもします。

やっと撮れた一コマには、テントウムシの前方に何かの影。
カメラのシャッタースピードは、ストロボに同調するよう1/60秒にしています。
また、ストロボが発光するタイミングは先幕シンクロといって、シャッターが開ききった時。
つまりはストロボが光って、シャッターが閉じきるまでの僅かな時間にテントウムシが飛んだ光跡が影のように写っている訳です。
後幕シンクロに改造すればもっと自然な感じになるんだけど。改造、めんどくさい。


マクロ専用ステレオカメラ(自作) / Kodak EPP

クリックすると大きな画像が出ます。交差法でご覧下さい。

投稿者 J_Sekiguchi : 2016年06月23日 10:00 | コメント (0) | トラックバック

TDCステレオビュアー

 TDCというのはThree Dimension Companyの頭文字だということなので、それに更に「ステレオビュアー」と付けるのはとってもくどい気がしております。それはともかく、TDCのカメラといえばステレオビビッド。赤瀬川師匠が著書で取り上げたことから一躍人気になった、とてもかっこいいカメラでございます。だけどTDCのステレオカメラはこれだけじゃない。ドイツの銘玉ローデンシュトックのレンズを採用しているカラリストがある。カラリストにはⅠとⅡの2種類があるのだけど、この二つはビビッドとは似つかないデザイン。
 ということはビビッドとカラリストは違うデザイナーで企画されたはず。では、ステレオビュアーはどうかというと、これもビビッド、カラリストのどちらとも似つかわしくないデザイン。全体が黒いベークライトで作られていて、リアリストビュアーよりも扁平な感じ。なんとなく近未来感を取り入れたような感じもあり、バックライトのスイッチ(押しボタン)を飾るTDCのロゴはビビッドのそれと同じ。ということは、デザイナーは別かもしれないけどビビッドの発売に合わせて企画されたビュアーなのかな、と考えてみたりもする。
 ビュアーの機能性能としてはリアリストのレッドボタンとよく似ている。どちらもピント調節機能として視野レンズの位置をダイヤル操作で前後できるし、左右レンズの幅もダイヤル操作で調整できる。バックライトは単1電池を2本直列に使って豆電球を灯す方法。スイッチは押しボタンになっていて、ボタンを押している間、バックライトが点灯する方式だ。乾電池の並べ方がレッドボタンと異なるため、扁平なデザインになっているが、視野が幅広になっているわけではなくリアリストサイズに対応したマスクになっている。
 ビュアーで大事なのは倍率と収差のバランスがちょうど良いこと。ある程度の倍率と視野を確保しつつ、気にならない程度の歪曲に抑える必要がある。球面レンズの時代の製品だから製造者側にとっても難しい課題であったに違いない。レッドボタンビュアーと並べて見比べると・・・あれあれ。どちらも同じような倍率ですね。見え方もほぼ同じ。どちらを選ぶかはお好み次第というところ。


投稿者 J_Sekiguchi : 2016年06月16日 10:00 | コメント (0) | トラックバック

クローバーとミツバチの飛しょう

マクロステレオの撮影で気をつけねばならないことがあります。
それは遠距離のものを同一画面に入れないということです。
遠距離のものが一緒に写り込むと、視差が大きく違うので立体視のときに疲れます。この作例のようにクローバーが密集していて奥行きがそれほどない場合は良いのですが。
そうではない場合、なるべく晴天の日を避けて曇天の日に撮影したり、直射日光が当たらない日陰の被写体を選びます。
ストロボのあたる部分が適正露出、ちょっと離れたところは露出不足で黒くつぶれるように狙います。こうすると立体写真として鑑賞しやすいものが撮れます。


マクロ専用ステレオカメラ(自作) / Kodak EPP

クリックすると大きな画像が出ます。交差法でご覧下さい。

投稿者 J_Sekiguchi : 2016年06月09日 10:00 | コメント (0) | トラックバック

デルタステレオビュアーの改造

 リアリスト・レッドボタンビュアーの改造で紹介したとおり、バックライトの赤味を補正するには色温度変換フィルターを組み入れれば快適な白色バックライトに変身する。デルタステレオビュアーは他のベークライトで作られたビュアーに比べ、とても軽く作られている。アルミボディならではの特徴だ。だが、大きな単1電池を2個入れるとせっかくの軽量ボディの恩恵も薄れてしまう。
 では、ここで色温度補正と軽量化の両方を狙った改造をしてみよう。僕の改造コンセプトは、基本的にオリジナルの部分を切ったり削ったりはせず、オリジナルの状態に戻すことができることを前提にしている。まず、軽量化のために軽い電池に変更してみよう。
 カメラ用の電池として普及したリチウム電池、CR123Aを使ってみる。これ一つで3Vの電圧が得られる。小さく軽いが容量は大きい。ビュアーにセットするため、プラスチックのフィルム容器を加工して電池ホルダーを作ってみた。
 このまま豆電球を使うのもどうかな、ということで、ここは白色LEDに変更だ。豆電球の口金部分を取り出し、ここに4個のLEDを取り付ける。LEDは収束した光線がでるので画面を均一に照らすには不向きなのだ。ビュアー内部の反射版にうまく光が当るようにLEDの向きを工夫する。それでも画面に明るさのムラが出てしまうので、スライド差込部分の背面に白色の拡散版を入れてみた。白色LEDだと若干青味がかった感じになることがあるが、これを補正するため、薄い黄色のゼラチンフィルターを拡散版のところに組み入れている。
 LEDを点灯させる回路だが、電流を制限する機構が必要だ。そうしないとLEDが急速に劣化してしまう。1個のLEDなら間に抵抗を入れた回路でもいいが、複数のLEDを点灯させる場合は、こんな簡単な回路ではだめなのだ。今回は手を抜いたので、順番にLEDが劣化してゆくのがわった。そんなわけで、軽くて明るい白色光ビュアーの実現を目指して改造をしたものの、電気回路の工夫が必要ということで長らく放置することになった。軽量化は諦め、そろそろオリジナルの豆電球に戻してブルーのフィルターを入れようかな。

投稿者 J_Sekiguchi : 2016年06月02日 10:00 | コメント (0) | トラックバック