STEREO CLUB TOKYO

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④世界の至宝(1)

 パリに行ったのなら、ぜひとも行っておきたいところ、それはルーヴル美術館である。世界の至宝の数々が収められた、世界屈指の大美術館。広すぎて一日ではとても回りきれないだろうに、僕が使える時間は一日に満たない。
 それでも、見たいものだけでも見てみよう。そんな思いでタクシーに乗る。ルーブル!と言えば連れて行ってもらえる。言葉が通じなくとも、運転手さんから「だんな、ロシアの金は受け取れねぇよ。」なんて断られることはない。
 ルーヴル宮殿が囲む大きな広場、この真ん中にガラス張りのピラミッドがある。美術館にはここから入る。入場チケットは自動販売機で買うのだが、さすが世界屈指の美術館。各国語の切り替えができ、日本語の案内もちゃんとある。
 展示室は細かく分かれていて迷路のよう。案内地図がないと目的の場所までたどり着くのは難しいだろう。だがご安心あれ。日本語のパンフレットも置いてあるし、人気の展示物までの道順には案内表示がされている。
 パンフレットを片手にやや早足で行く。すると、階段の上に唐突にニケ像が現れた。何の囲いもなく、小高い台座に置かれている。開放的な展示に驚く。日本の美術館だったら確実に大きなアクリルケースに入れてしまうだろう。
 この像は、今から150年ほど前にギリシャのサモトラキ島で発掘された。発掘時はバラバラの状態だったという。未だに頭部や腕が無い状態であるのに、完全体の姿は我々の力では想像できないのに、この像は神々しくも美しい。
 早足で向かった次の行き先はミロのビーナスである。展示室に入ると、窓から斜めに差し込む光が影を作っている。ゆっくりと歩きながら角度を変えて見ると、光と影のバランスで印象が変わってゆく。写真を撮る上で、ライティングは大事だと改めて気付かされた。このときばかりは時間に追われていることをすっかり忘れ、見入っていた。(つづく)

ニケ.jpg

ミロ.jpg

投稿者 J_Sekiguchi : 2012年01月26日 10:00

③パリの空

 階段を上って出た場所は、凱旋門の真下であった。たくさんの観光客が集まっている。凱旋門の内部は階段になっていて、てっぺんまで行くことができると聞いていた。ここまで来たのだから、やはり行ってみなければなるまい。
 だがここまで歩いてきたのだから、さらに階段を上るというのも疲れる。あやふやな記憶だが、エレベーターもあると聞いたような気がする。ああ、そうか。さっき地下にあったチケット売り場は、エレベーターのチケットか。
 早速チケット売り場まで戻り、列に並んで何ユーロだかを支払う。やれやれ、これで楽に上れる。そう思ったのも束の間、門の入り口でチケットを渡すと目の前に現れたのは螺旋階段であった。チケットは単なる入場料・・・。
 引き返すこともできず、狭く、薄暗い螺旋階段を上る。さすがに疲れを覚えた頃、途中の踊場でご婦人が苦笑いをしながら休憩中。通りすがり、僕に何かを言っている。フランス語?よくわからない。たぶん「長い階段だわねぇ」と言っているのだろう。日本語で「ホントに長いですねえ、ごきげんよう」と返す。笑顔が返ってきたからこれでいいのだろう。
 やっと階段を上がりきり、広間に出る。展示物があったり、土産物屋がある。屋上に出るにはさらに階段を上がる。やれやれまた階段か。だが、外に出ると疲れはパリの空に霧散した。眼下にパリの大パノラマが広がる。素晴らしい。シャンゼリゼ大通りを行き交う人々が、小さく小さく見える。街並みが広がり、その奥には、エッフェル塔が。
 パリのパノラマと、東京の景観とはずいぶんと雰囲気が違う。パリには東京のような高層ビル群がなく、遠くまで見渡すことができる。それもそのはず、かつてパリでは法律で、建築できるビルの高さに制限を設けていたのだ。
 さて次は、どこに行ってみよう。眼下の風景と地図を見比べる・・・。うーん、あの辺りか。遠いなぁ。(つづく)

凱旋門下.jpg

パリ・パノラマ.jpg
▲毎度、遠景というのは普通に撮っただけでは立体感が出ませんね(笑)

投稿者 J_Sekiguchi : 2012年01月19日 10:00

②まずはお散歩

 さて、まずは凱旋門まで行ってみよう。泊まったホテルから5分ほど歩くと、凱旋門につながるグランド・アメル通りに出た。凱旋門まで真っ直ぐに伸びた通りで、この道の横断歩道に立つと、遠くに凱旋門がこちらを向いている。
 地図を見ると、凱旋門から12の通りが放射状に延びている。今立っている場所から凱旋門をはさんで反対側に伸びるのが、有名なシャンゼリゼ大通りである。12の通りが集まるロータリーの真ん中に門がある、という感じだ。
 さて門まで並木の歩道をのんびり歩く。隣の車道は信号が変わるたび、間欠泉のように車の列が走り抜けてゆく。それも、石畳の道をけっこうなスピードで走り抜けてゆく。石畳のせいだろうか、ゴトゴトとタイヤが鳴っている。
 ようやく凱旋門の前までたどり着くと、門の周りを車道が囲んでいる。それも、けっこうな交通量だ。道幅も広いのだが、どうにも車線がはっきりしていない。眺めていると、混雑した中を割り込んだりぶつかりそうになったり。危なっかしいことこの上ない。もしパリに住むようなことがあっても、車の運転だけは馴染めない。そんな気がしてくる。
 こんな状況だから、車道を渡って門にたどり着くということは不可能。やったらたぶん、轢かれて死んでしまう。ハンドルを持つと性格が変わるというのは、日本に限ったことではないよなぁ。石畳を蹴るタイヤの音が、そう感じさせる。
 さて、どうやって門のところまで行くのだろう?不思議に思っていると、地下道に続く階段からたくさんの人々が上がってくる。いろいろな国の人々がいる。子供たちがはしゃいで駆け上がってくる。たぶん、ここを通ってゆくのだろう。
 地下道の通路を歩いてゆくと、距離的に門の真下かな?というところでチケット売り場がある。なるほど、ここから上がるのだろう。でも、チケットを買わずとも地上に出られるではないか。訝しがりながらも外に出てみる。(つづく)

凱旋門3.jpg

凱旋門2.jpg

投稿者 J_Sekiguchi : 2012年01月12日 10:00

①ぼんじゅーる

 カメラ発祥の国、フランス。えっ?という声が上がったかもしれないが、本当だ。有名なダゲレオタイプを発明したダゲールはフランス人である。では、フランス製のカメラと言ったら何がある?・・・ほらほら、パッとは出てこない。
 前に紹介した、ベラスコープF40はフランス製のステレオカメラである。ステレオではなくてもフランス製のしゃれたカメラはいくつもあり、その筋ではけっこうな人気があることも確か。これを持ってエッフェル塔を撮りたい。
 そんな願いはあったものの、パリに行くチャンスが巡ってきたときに連れて行ったのはステレオ・リアリストであった。なんでベラスコープを連れて行かなかったんだ?と詰問されそう。でも、もし旅先で壊れたとき、僕が直せるカメラはリアリストだけなのだ。ベラスコープは浅草の有名なカメラ屋さんの手により整備されたもので、僕なんかが手を出す隙がない。両方持ってゆくのは大変なので、自分でメンテナンスできるカメラの方を選んだのだ。そう、ドライバーセットも一緒に。
 さて、今回パリには5日間ほど滞在したのだが、写真を撮るためなんていう楽しい目的のために行ったのではない。別の用事で行ったので、その合間の、限られた時間を活用するしかなかった。それでも、できるだけたくさん撮ることにした。旅行に行くとき、ステレオカメラが傍にある。今では、旅を楽しむ当たり前のスタイルになった。
 カメラをいつも携帯していると、いい絵が撮れる。そんなコトバを思い出す。リアリスト1台、予備のフィルム数本がいつも鞄の中にある(だけどリアリストが、もう少し軽いと助かるのだがねぇ。ベラスコープもつれてゆく余裕は無いのだよ)。
 凱旋門に近い場所に宿を取ったのが幸いし、限られた時間の中でもいろいろ見て回ることができた。だが、それもパリの街の、ほんの一部に過ぎない。それはさておき、素敵な巴里の街並み散歩をどうぞご一緒に。(つづく)

凱旋門.jpg
▲通りの先に凱旋門が見える。
PARIS.jpg

投稿者 J_Sekiguchi : 2012年01月05日 10:00